Movie Movie

Return Page

命を削って向き合った作品が初日を迎え、土屋太鳳、芳根京子も感激
「累 -かさね-」初日舞台挨拶

2018年09月07日

「累 -かさね-」初日舞台挨拶

<左から、佐藤祐市監督、芳根京子さん、土屋太鳳さん、浅野忠信さん>


土屋太鳳×芳根京子というNHK朝ドラ主演も務めた若手屈指の演技派女優二人が、初共演にしてダブル主演を務める映画「累 -かさね-」がいよいよ9月7日に初日を迎えました。
そしてこの日、TOHOシネマズ 日比谷では、土屋太鳳さん、芳根京子さん、浅野忠信さん、佐藤祐市監督が登壇する初日舞台挨拶が行われました。イベント内では、大変だった撮影現場のこと、この作品を通じて得られたもの、そして"二人で一つの役"を演じ合った本作を通じてできた絆などについて大いに語られました。こちらのイベントの模様をレポートします。


土屋太鳳さん(丹沢ニナ役)

「累 -かさね-」の世界にようこそいらっしゃいました。今日からこの作品は皆さんによって、原作から遺伝子を引き継ぎ永遠の命を吹き込まれました。その命が愛され続けることを願って、この時間を皆さんと一緒に過ごしたいと思います。
芳根京子さん(淵 累役)

「累 -かさね-」の初日を迎えることができました。皆さんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。今日は短い時間ですが、素敵な時間を皆さんと一緒に過ごせればいいなと思います。
浅野忠信さん(羽生田釿互役)

僕は、今日を迎えられて嬉しいです。今日は関ジャニ∞の横山くんになったつもりで頑張ろうと思います。本当に入れ替わっているんじゃないかと、さっき監督に言われました。本物の浅野は、今頃東京ドーム(関ジャニ∞コンサート「KANJANI'S EIGHTERTAINMENT GR8EST」公演が開催されていた)にいるんじゃないかと思います。そういうことになっておりますが、よろしくお願いします。
佐藤祐市監督

僕はおとなしく黙って立っていると、「悪い政治家みたいだ」とよく言われます。なので、なるべく話をして笑顔でいないといけないなと思っています。悪い政治家みたいな写真が世の中に広まると映画のためにも良くないので、なるべくツッコんでいきたいと思います。さっきの浅野さんにもツッコもうと思ったら、マイクがオフでした(笑)。

MC:佐藤監督、お客さんには分からないかもしれませんが、ネクタイの柄が"口紅"なんですね。

佐藤監督:
そうなんですよ。「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」というドラマで、(佐藤監督は演出として参加)上戸彩ちゃんに「累 -かさね-」で使ってねとネクタイをもらいました。上戸彩ちゃん、ありがとう!

土屋さん:
ありがとうございます!

MC:土屋さんも芳根さんも「いいネクタイ」と言っていましたもんね。そんないろいろなつながりがある中で、今日は初日を迎えるわけですが...。

佐藤監督:
そんな大人になりたいね。

土屋さん:
はい。

MC:土屋さんと芳根さん、初日を迎えてあらためて今、どのようなお気持ちでしょうか?

土屋さん:
本当に嬉しいです。「入れ替わりもの」といっても、普通の入れ替わりものでは最後は戻れるか戻れないかというストーリーですが、今回はきょんちゃんとかなりキスをして、(二人手をつなぐと佐藤監督は「ヒューヒュー」と冷やかす)、嬉しかったです。でも本当に、きょんちゃんが相談とか、受け入れてくれなかったら、役にはなりきれていなかったと思うので、本当に感謝しています。こうして、皆さんと一緒にこの時間を過ごせていることが本当に幸せです。

MC:映画では、キスをしているように見える(けれども実はしていない)というお芝居もできると思うんですが、今の話を聞いていると、実際に唇を重ねているんですね。

芳根さん:
(嬉しそうに)本当に何回も何回もしたんです。テストの時から実際にしているので、何回くらいでしょう...100回くらいですかね。

土屋さん:
かなりキスしましたね。

芳根さん:
そうですね。だから、太鳳ちゃんとのキスは、もう挨拶ですね。

佐藤監督:
すみません、これ決して「百合もの映画」ではないですから(笑)。

MC:入れ替わる時の大きな動作ですからね。

土屋さん:
そうですね。戻る時が一番難しかったなと思いますね。テンションも。

芳根さん:
変わるときはキスというスイッチがあるのですが、元に戻る時は(そういうスイッチが)ないんです。

土屋さん:
だから、きょんちゃんがよく言うのですが、「感情のバトンを渡していくようにする」という...(と言いながら、二人はバトンを渡すように手を突き合う)。

MC:そして浅野さん、今回の怪しげなマネージャーは、私が知る限り、「カメラが回っていない時の浅野さんに近い」気がしたのですが...。激しく戦う土屋さんと芳根さんとの間で、どのように役を演じようとしたのでしょうか?

浅野さん:
そこがこの作品の魅力でもあると思います。二人が激しくぶつかったり、時には支え合ったりと、それがきっと二人の中でもあったと思うんですね。それを楽しんでいればいいのかなと思って、本当に面白い役をいただいたなとエンジョイしていました。

MC:浅野さんはニナのマネージャーなので、"美しい顔のニナの土屋さん"と、"中身が入れ替わってニナの芳根さん"と、同じ役を演じる二人の女優さんと共演したわけですよね。どんな体験でした?

浅野さん:
今言ったように、撮影以外の時の二人を見ているのが楽しかったです。二人の、「葛藤しているのかな」「楽しんでいるな」という、いろんな部分を見れたので、「倍楽しめたのかな」と思いました。

MC:そして土屋さんと芳根さんは浅野さんの前ではニナを演じることが多かったと思うのですが、すばらしかったのは二人ともニナに見えたということです。逆に言うと、二人とも累に見えたということでもありますが、(会場に)皆さんどうでした? (会場:拍手)。顔が違うのに、同じ人に見えるというのは、何か秘密はあったのでしょうか?

土屋さん:
秘密...浅野さんに、「累とニナの演技ノートを作りなよ」とアドバイスをいただいて、すぐに大学ノートを買ってきょんちゃんに「思ったことを書いていくノートを作ろう」と誘って作りました。

芳根さん:
その場で二人で話し合いました。例えば姿勢だったり、目線だったり、声だったり...声の高さであったりというのはもちろんですが、こういう時に「累はこういう感情だった」「ニナはどういう感情だった」というのを、お互いが確認し合ってノートに書くということをしました。

浅野さん:
それはノート一冊にビッシリと?

土屋さんと芳根さん:
あぁ...(ちょっぴり言いづらそうに二人同時に)ページ二枚。(会場:笑い)

土屋さん:
その行動というか、二人の気持ちが合った時に、すごく近寄れた気がして嬉しかったです。

MC:同じ役を演じるというのはどうでした?

芳根さん:
もちろん言葉で気持ちを合わせるところもありましたが、お互いに「ニナと累のお芝居」を見て、いいところを取り合うというか、心でつなげていった部分もあったかなという印象がありました。

MC:「累 -かさね-」は松浦だるまさん原作の大ヒットコミックで、ものすごく面白いんですが、一方で女優さんたちの複雑な演技を要求する、かなり手間のかかる作品だと思います。佐藤監督は引き受けるのに躊躇はありませんでしたか?

佐藤監督:
引き受ける時にはそういう躊躇は全くなく、女優同士のドロドロというか、「演技バトルを撮れるんだ」という方が楽しみで、即決でした。いざふたを開けてみたら、劇中劇で「かもめ」とか「サロメ」とか、しっかりと舞台をやらなくてはいけなくて...舞台の演出経験がなかったので、「どうやればいいんだろう」というのがありましたね。だからクランクイン前に、主に中身が累の太鳳ちゃんが、舞台に立っているのを芳根ちゃんに見てもらいながら...、ということを何回かやりました。その時間がなかったら、できなかったでしょうね。

MC:撮影現場では、土屋さん、芳根さんに、同じ人になるために、監督がそうとう細かいダメ出しをしていたと聞いたのですが。

佐藤監督:
そんなに細かいダメ出しをしました? (二人に)監督として、意外と優しいよね? 僕。

土屋さんと芳根さん:
(言いづらそうに)そ、そうですね...(会場:笑い)

佐藤監督:
僕、もしかして今パワハラしている? 

土屋さん:
していないです(笑)。すごく優しくて、面白いです。

MC:細かいシーンについて聞きたいのですが、入れ替わった後はどのような感情になるんですか?

佐藤監督:
どのシーンをやっていても、やはり確認は必要ですよね。ご存知の通り、順撮り(シナリオの冒頭から順を追って撮影を進める方法)というわけにはいかないですからね。(現在のシーンから)ポーンと飛んで、別のシーンを撮らなくてはいけなくなった時は、「そこに至るまでの累の心情とか、ニナの心情とかはこっちじゃない?」と話してみます。でも、「私はこう思う」と言われたら、「だったらこういうのはないかな?」というようなキャッチボールを何回かしました。

MC:芳根さんは、撮影の際に心が折れそうになったそうですが。

芳根さん:
太鳳ちゃんが一人で累とニナをやっているシーンって、私には分からないじゃないですか。やはり監督が一番客観的に観ているので、「前のシーンの太鳳ちゃんと次のシーンの私はつながっていますか?」とか、監督の言葉をものすごく信じて撮影していました。監督が「大丈夫」と言ってくれたら絶対に大丈夫だと、自分よりも監督を信じていました。

佐藤監督:
逆のプレッシャーが...出来上がっているのにプレッシャーが...。いじめられている感じがあるよね(笑)。

MC:浅野さん、若いお二人の女優さんと一緒にやりながら、女優さんとしての資質の違いみたいなものを感じたりしました?

浅野さん:
言葉じゃ言えないですが、「何か違うな」とは思っていましたね。

MC:監督はお二人の違いはどう思いましたか?

佐藤監督:
芳根ちゃんはいろいろとロジックで「こうでしょ、ああでしょ、だからこうでしょ」と説明すると「一回見てもらっていいですか」ということがすごく多かったです。太鳳ちゃんは、ちゃんと自分の中に言葉で落とし込んで、またそこで芳根ちゃんがやるお芝居を観ると何か影響を受けて...みたいな感じでしたね。お芝居のキャッチボールや、考え方のキャッチボールをいろいろとやっているのを、浅野さんはニヤニヤと見ていたという。

浅野さん:
すみません(笑)。

MC:浅野さんはお二人と共演する前と後で印象がそれぞれ変わったところはありましたか?

浅野さん:
お二人の印象というよりも、途中から「ニナと累」にしか見えなくなるというか、すごくドキドキしましたね。こんなに役に入り込みすぎて、この人たちは帰ってこられるのかなと、「累 -かさね-」の世界の人になっちゃったんじゃないかというくらいでした。

MC:監督はお三方の撮影を見ていて、どんな雰囲気でした。

佐藤監督:
僕から見た感じでは、太鳳ちゃんと芳根ちゃんはすごく仲良くて、イチャイチャしてやっていました。(土屋さんと芳根さんが手をつなぐ) それで浅野さんは三歩下がってどっしり構えて...浅野さんが後ろでドンと構えてくれるから、きっと二人も安心してできたのかなと思いますね。

MC:確かにお二人が仲がいいのは分かるんですが、この物語は単に顔を入れ替えるホラー、サスペンスというわけではなく「女優として成功していこう」という女優たちの魂のぶつかりあいの話じゃないですか。となると、それぞれ自分の女優魂に火がついた部分があったりしたんじゃないですか?

土屋さん:
とりあえず、一人二役、二人で一つの役なので、きょんちゃんといかにコミュニケーションをとるか、ということは大事にしました。累は「美しさ」さえあれば、ニナは「才能」さえあれば生きている意味があると思っているんです。でも、(劇中劇の)「サロメ」では二人が望んでいるものをすべて持っているのに、幸せになれないんです、愛情と出会えなかったから。お仕事でも感じるのですが、優れた人をただうらやんでいるだけでは、心を潰し合うだけでもっと孤独になると思うんです。だから、自分に欠けているものを認めて、その欠けているものを持っている人を尊重する。独り占めをするんじゃなくて、分かち合うことがものすごく大事だということを、この作品からあらためて教えられました。だから「女優魂」というよりは、「二人でいかに作り上げていくか」ということを大事にしました。

MC:芳根さんは、負けるもんか、というような瞬間はなかったんですか?

芳根さん:
太鳳ちゃんとは、本当に手を取り合ってやってきたという印象です。それがあったから乗り越えられたかなと思うんです。駐車場で、ヒールで踏みつけられるところはやはり「こんにゃろ」と思いますよね。(会場:笑い) でもそれは累としてなんですよね。累としてすごく悔しいけれど叶わないから「こんにゃろ」と思うことは何度かありました。でも、太鳳ちゃんとは手を取り合ってやってきたからこそ、私は今ここにこうやって立てているんだなと思います。

MC:浅野さん、女優魂の話の中で演出家の横山さんを中心とした三角関係という恋愛的要素がありましたが、ここは佐藤監督を中心とした三角関係というようなことになりかねない現場だったと思うのですが。(会場:笑い)

佐藤監督:
そんなことないでしょ(笑)。どこに向かっていくんですか?

MC:恋愛とではなく、つばぜりあいというか、見ていて感じることはありました?

浅野さん:
本当に三人が仲がいいなとは思いましたね。仲良くしないとできなかったと思います。すごく監督に頼っているところもあったり、見えない戦いじゃないですが、そういうものを感じることもありました。とても仲が良かったと思います。

MC:芳根さん、この作品で得たもの、そして心に残ったものはどんなものがありますか?

芳根さん:
私は自信をもらいました。前に朝ドラが終わった時に「芳根ちゃんはもうちょっと自信を持った方がいいよ」と言われて、東京に帰ってきたんです。そして、「自信はどうやって手に入れたらいいんだろう」と悩んだ時期もありました。自分の中にあるとは思っていなかったからです。そんな自分の中で見つけることができなかった感情を、「累 -かさね-」という作品でたくさん引き出してもらいました。「追い詰められる時に出るパワーが自分の中に潜んでいたんだ」と、それが分かった時に少しですが、この作品をやる前よりは少し自信を得ることができました。

MC:土屋さんはどうですか?

土屋さん:
私はこの作品をやって、人生の中ですごく大切な、大きな「カギ」を得られたと思います。この作品が自分にとって、どういうものになるかは、これから先、自分がどう歩いていくかにかかっていると思うので、今回、映画で経験できたことを生かせるように、歩んでいきたいと思います。また、「累 -かさね-」でご一緒した佐藤監督や、きょんちゃんや浅野さんに恩返しをしたいと思います。

MC:浅野さん、今のお二人の話を聞いていかがでしたか?

浅野さん:
僕自身、成長させてもらいましたし、二人が今みたいにいろんな経験をしたんだなと思うと...パート2を撮って(笑)、さらに成長させていただこうかなと(会場:笑い)。

MC:監督はいかがですか?

佐藤監督:
ご覧になったほとんどの方が感じていらっしゃると思うのですが、画面一杯にエネルギーというか、太鳳ちゃんだったり、芳根さんだったり、もちろん浅野さんだったり、横山くんだったり、檀さんだったり...ある意味圧をもって、お客さんに迫るようなものになったと思っています。そういう意味では、この二人にとってすごくいいエポックになるような作品に関われたんだなと思うとすごく嬉しいです。二人はまだ(土屋さんは)23歳と(芳根さんは)21歳というすごく若い役者さんです。そんな若い役者さんが...完成披露試写会の時にきょんちゃんが言っていましたが、「魂を削って、命を削って」本当に真剣に、まっすぐ頑張っている姿には、経験が豊富な浅野さんでさえ、ちょっとたじろぐようなエネルギーがありました。そのエネルギーに、僕らおじさんたちも触発されました。そういう二人に出会えたことも僕はすごく嬉しいし、ぜひこれを一人でも多くの人に観てもらいたいなという気持ちでいっぱいです。

MC:最後に改めて土屋さんと芳根さんからご挨拶いただきましょう。

芳根さん:
こうしてたくさんの方に観ていただけることを本当に、本当に嬉しく思います。(感激した様子で)うーん...言いたいことがいっぱいあったんだけどなぁ...(会場:笑い)。でも今日は泣かないんです。「本当に嬉しい」という気持ちが今は一番にあります。完成披露の時は「少し怖い」という気持ちが自分の心の中にあったんですが、今は本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。たくさんの方に「累 -かさね-」が広がるなといいなと思います。先ほど(写真タイムでお客さまが)撮った写真や、今日観た感想を、お友だちだったり、ご家族だったり、SNSで拡散して広めてもらったら嬉しいなと思います。私もこれから皆さんに勇気だったり元気だったり、背中を少しでも押せるように、いろんな作品に立ち向かっていきたいと思います。どうぞこれからもよろしくお願いします。

土屋さん:
この挨拶を終えてしまうと、本当に全部が終わってしまうので...(瞳がうるむ)。とてもさみしいです。エンドロールに入りきらないほどのたくさんの方が、この映画を育んでくださいました。そして今日からこの「累 -かさね-」は皆さんのものです。累の持つ傷だったり、ニナの持つ絶望は誰の心にもあると思います。どうか口紅の記憶とともに、共感というあたたかな絆を持って、ニナと累を抱きしめてあげてください。そしてその絆が末永く育ちますよう、心から願っております。

帰り際、「さみしい!」と叫ぶ芳根さん。そして瞳をうるませる土屋さん。そして泣きそうになりつつも深呼吸して気持ちを落ち着ける二人。

浅野さんに促されるかのように熱い抱擁をする二人。

そして袖にはける直前、二人は手をとって客席に「ありがとうございました!」と声を振り絞って感謝の言葉を述べると会場の拍手はひときわ大きく鳴り響きました。

東宝website